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超現実と俳句/鶴岡善久
¥500 税込
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平成10年9月発行
表紙カバーに少しよれ、裏面バーコード部分にはがれ、日焼けなし
「いきながら一つに氷る海鼠哉 芭蕉」
本の冒頭に芭蕉の句を引用し、著者は日本の俳句は現実描写にとどまっておらず、その先にある超現実を描いているのではないかと著者は問いかけます。
幻想的な超現実を描くシュルレアリスムの詩の手法が、なんら交流のなかった江戸文化の中に現れていた、と考えるのは個人的にはとてもロマンがあるなと思いました。
言語を記号化させて、幻想を描くシュルレアリスムの手法が確かに芭蕉や蕪村の句に見受けられます。現実を正確に描く写実主義から、印象派やシュルレアリスムへと向かう西洋の美意識の変化が、日本の俳句界にも現れているのかもしれません。
印象派のゴッホは日本画が好きだったと聞きますし、遠近法を使わず主観を重んじる浮世絵なんかは、キュビズムに通じているようにも思います。正方形を多用する桂離宮はさながら抽象主義のモンドリアンといったところでしょうか。
17世紀から19世紀にかけて鎖国をしていた江戸時代に、なぜ19世紀に生まれた西洋の近代芸術の片鱗が見られたのでしょうか。やっぱり日本文化すごい!...みたいな昨今の自国賛美は大っ嫌いで気持ち悪いと思っていますが、やはり日本文化も面白い。
ちなみに、話はそれましたが、本書は近代俳人の句も多く取り上げており、その方面でも良書だと思います。
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