自然から抽象へ=モンドリアン論集/ピート・モンドリアン 赤根和生訳編
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1987年初版 第1刷 331頁
表紙にヨレ 少し書き込み 中身も少しヤケてます
抽象を極限まで絵画で突き詰めたモンドリアンの論集です。著者の思想は作品のように堅牢で、キュビズムから発生した近代芸術がどのようにして自身が提唱するネオ・プラティシズム(新造形主義)へと至ったかを熱く純粋に語られています。
例のごとく私の所感なのですが、キュビズムは不均衡な自然を描こうとしており、純粋な規則性のある客観が描けておらず、シュルレアリスムは個別性があり、そこに普遍性がないと説きます。著者は客観的に存在している建築のように現実を歪曲させずに絵を描き、静的に均衡がとれた三原色や水平・垂直にこそ自然が秘めている純粋で普遍な美さが現れると語り、その美しさに言葉を排除して全存在で純粋に魂を振動させるべきだと、革命家のように熱弁しています。
私が気になるのは、モンドリアンと時期を同じくして、コルビュジェも画家から建築家に転向を始めており、この時代はキュビズムやシュルレアリスムが抽象へと転換した時期だったのかなって思います。考察していく上では、モンドリアンは建築の魅力についても多く語っており、良い資料だと思います。
あくまでも抽象は自然の美しさを純粋に表現するための手段であり、幾何学形を建物のように静かに均衡してバランスを保ち表現することで普遍性が生まれるのだとモンドリアンは説いています。
近代芸術の祖であるセザンヌが写実主義から抽出した主観的な色彩と造形に、モンドリアンは規則性とバランスを与えることで普遍性や純粋さを画策したんじゃないかなって思います。
ダダやシュルレアリスムが個別的すぎてバラバラになってしまった感性を束ねる役割を抽象は果たしたのではないでしょうか。
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